« ROMEがBOMを扱えない | トップページ | 久しぶりにSoapboxサービスにアクセスしてみたら »

2008/02/22

動的型付け言語はやはり使用できない

Web上で見られる動的型付け言語の利点は、それを書いた人が、現在、動的型付け言語の方が素晴らしいと思っていることは理解できる。しかし、どういう経緯でそう考えるようになったのかがいまいち分からないものだった。

BEST SOFTWARE WRITING の中の1章に、ブルース・エッケルという人が書いた"強い型付け vs. 強いテスト"というエッセイがある。

ここでは、元々静的型チェックを支持していた著者が、どのような経験を経て動的型チェックの方が素晴らしいと考えるに至ったかが記述されている。

私が静的型付け言語の方が優れていると考えている理由(静的型付け言語ではコンパイル時に分かるエラーが、動的型付け言語だと実行時になるまで分からない)と、著者が過去そうであった理由が全く同じであることもあり、今まで読んできた「動的型付け言語のメリット」に対して最も説得力があると感じた。

最終的に著者は、「テストされていないものは、壊れていると思え」、つまり、動的/静的に関わらずテストは行う必要があり、どちらも必ずテストを行う必要があるのであれば、動的型付け言語の方が柔軟性がある分優位である、としている。

上記について、理解はできるものの、やはり同意はできず、今のプロジェクトの実情からは、彼方の理想論にしか聞こえない。今までテスト無しで動かしてきたプログラムが山のように存在しており、例え、今、新規にプロジェクトが立ち上がった状態だとしても、同じメンバであればやはり同じような結果になるだろうと思われるからだ。

そのようなレベル(CMMIでいうとせいぜいレベル2だろうか)のプロジェクトでは、コンパイルによるチェックすら重要なテストのうちの1つであり、省略することは即破滅へ導かれることになる。

問題点である「テストが行われていないこと」については、解消できるのだろうか。少なくとも私の周りの人間の中には、そのような状況に対して危機感を持っている者は極少数であるし、実際実行できるスキルを持っている者も同程度のように見えるのだが。

最近、やっと定期的な静的チェックを開発プロセスの中に組み込むことができた。本の中の理想的な開発プロセスでは、JUnitなんかを実行させているところだが...

Joel on Softwareの著者であるJoel Spolskyが編者として著名人(残念ながら私が以前から知っていた人はほとんどいないが)の書いた記事を集めた書籍。昨日購入したばかりで全ては読めていないのだが、Joel on Softwareより『ヨミモノ』色が強くなっているので、実開発に役立つ度合いはかなり低いと思われる。オリジナルのタイトルには"1"と与番されているので、もしかすると2巻以降も出るのかもしれない。

« ROMEがBOMを扱えない | トップページ | 久しぶりにSoapboxサービスにアクセスしてみたら »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 動的型付け言語はやはり使用できない:

» 静的型付けの何が良いか [雪羽の発火後忘失]
以前、「動的型付け言語はやはり使用できない」というタイトルでエントリを書いたのだが、「Scalaスケーラブルプログラミング[コンセプトコーディング] (Programming in Scala)」という本に言いたかったことが書かれていたので紹介する。 p.34 1.3.4 静的な型付け(簡潔性、柔軟性、検証可能性、安全性、ドキュメント性): 静的な型システムは、ある種のランタイムエラーが存在しない... [続きを読む]

« ROMEがBOMを扱えない | トップページ | 久しぶりにSoapboxサービスにアクセスしてみたら »

other sites

  • follow us in feedly
  • github
  • stackoverflow

ソフトウェアエンジニアとして影響を受けた書籍

  • Christain Bauer: HIBERNATE イン アクション

    Christain Bauer: HIBERNATE イン アクション
    理論と実践が双方とも素晴らしい製品であるHibernate。本書はそのプロダクトを書名に冠していますが、Hibernateを使うつもりがなく、ORマッピングの解説書として読むにしても十分な良書です。Second EditionとしてJava Persistence With Hibernateという書籍も出版されていますが、残念ながら現在のところ 和訳はされていません。-インアクションは2.xの、Java Persistence-は3.1の頃のものなので、最新版とはちょっと違うところもあることに注意。 (★★★★★)

  • アンドリュー・S・タネンバウム: 分散システム 原理とパラダイム 第2版

    アンドリュー・S・タネンバウム: 分散システム 原理とパラダイム 第2版
    クライアント/サーバシステムを構築する上で必要となる知識が総論されてます。Web技術者も、フレームワーク部分を開発するのであれば必読。 (★★★★★)

  • Joel Spolsky∥著: ジョエル・オン・ソフトウェア

    Joel Spolsky∥著: ジョエル・オン・ソフトウェア
    前述の書籍「ソフトウエア開発プロフェッショナル」をより砕いたもの、という感じでしょうか。 前書きではプログラマでなくSE向けの本のように書かれているが、プログラマが読んでも面白い本であると思われます。 SEになった新人(あるいはそういう会社に入る/入りたての人)にとっては、これからどういったことが仕事を遂行していく上で起こりえるのか、どのように考えて行なっていけばいいのか決定する助けになると思います。 元は″Joel on Software″というブログの記事で、web上でも一部日本語で読めます。 http://japanese.joelonsoftware.com/ (★★★)

  • ドナルド・C・ゴース,ジェラルド・M・ワインバーグ: ライト、ついてますか

    ドナルド・C・ゴース,ジェラルド・M・ワインバーグ: ライト、ついてますか
    問題解決(一昔前のの流行語で言うところの『ソリューション』)能力は、システムエンジニアのスキルとして備えるべきもののうちのひとつです。しかし、これは難しい。学校で出されるテストと違い、唯一の、(問題提出者が想定している)解を求めるだけが「問題解決」では無いからです。そもそも、何が問題なのか、それは本当に問題なのか、それは本当に解決すべき問題なのか、その問題解決方法は正しいのか、などを解決しなければ、「その解は正しいのか」に辿りつくことができません。この本の最も良いところのひとつは、本があまり厚くないこと。すぐに読めるし、何回も読み返す気になるでしょう。 (★★★★★)

  • スティーブ・マコネル: ソフトウエア開発プロフェッショナル

    スティーブ・マコネル: ソフトウエア開発プロフェッショナル
    コードコンプリートで有名なスティーブマコネルの著書。新人SEに読んで欲しい。個人として業界の中でどうあるべきか、組織としてどうあるべきか、SEのプロ意識とは?SEの心構え概論、といったところでしょうか。また、業界における資格の重要性についても説かれています。この業界では資格が特に軽んじられる傾向がありますが、この傾向はどんな弊害をもたらすのか、将来的にこの業界は資格に対してどのような姿勢で臨んでいくべきなのか。日経BP社では(他の出版社もだが)最近、似たような類いのあまり面白くない書籍が乱出版されていますが、この本は別格だと思うので安心して購入して欲しいと思います。 (★★★★★)

無料ブログはココログ