[読書]「企業の研究者をめざす皆さんへ」 丸山宏
帯書きより:
刻々と変化する世界経済や企業戦略の中で、基礎研究部門の果たすべき役割とは?研究員に求められるあり様とは?グローバル企業IBMの東京基礎研究所で所長を務めた著者が、これらの解答として日々発信してきたレターを集大成!
★さらにこれから企業の研究所を目指す学生にも重要なアドバイスを送ります。
目次:
- 企業における研究のあり方
- 研究について
- 研究者像
- 研究の面白さ
- 研究のやり方
- 論文について
- 研究力とは
- コミュニケーションの大切さ
- コミュニケーションの基本
- コミュニケーション・テクニック
- 異文化コミュニケーション
- 研究者のキャリア
- テクニカル・キャリア
- 二つのヒント
- グローバル統合の時代の中で、研究者はどうあるべきか
- 変わっていくということ
- 外の世界を経験すること
- リーダーシップについて
- 組織の運営戦略
- どうしたら人は動くか
- リーダーシップのベスト・プラクティス
- 知的刺激を与える
- 企業の研究所のマネジメント
- 企業の研究所のあり方
- イノベーションを起こす仕組み
- グローバル・テクノロジ・アウトルック、グローバル・イノベーション・アウトルック
- 基礎研究部門マネジメントの変化
- 研究所の価値
- 研究の評価
- 知財・契約・技術倫理
- 特許について
- お客様との契約について
- 技術倫理
- 研究所の風土
- わくわくするDNA
- ビジネスマナー
- 仕事場を離れて
- 企業の研究者をめざす学生の皆さんへ
- 学生時代に何を学ぶか
- 博士課程に進学すべきか
- 企業について知る
2章~8章までは、著者が所長を務められていた時期に、所員に向けて書かれたレター(元は社内ブログに書かれたものだそうだ)と、そのときの背景や補足、9章は丸々この本のための書き下ろしだろうか。
このような体裁になっているため、冒頭帯書きには対象者が「企業研究者」「企業の研究所を目指す学生」となっているのだと思う。
が、この2者に限らず、その他の研究者(前回の分類でいうと、「大学研究者」「公的機関研究者」)に対しても同程度に有用なのではないかと思う。
また、2章に書かれている、研究対象をどのように設定するのか、研究のストーリーをどう考えるのかといったようなことは、大学で研究を行っている学生に対しても助けになるだろう。
研究者のバックグランドについて書かれた書籍は、(少なくとも情報工学に関係視しそうなものは)JSTなどの機関や大学の先生が著者となっているもの(前述分類で「大学」「公的機関」)が大半のようなので、企業研究者の著作、という意味でも貴重だ。
本筋と外れる感想だが、「情報の秘匿クラスがIBM Confidentialとそれ以外しかない」というのはうらやましい限りなのだが、顧客に関わる情報(例えばプロジェクト限り)とか、経営情報(例えばマネージャ以上限り)とかはどうするのだろうか。
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