[読書]彼女と二人で「C」体験!にあえてツッコむ
ストーリー上の小道具なわけで、無粋かとも思いましたので淡々と。前エントリからの流れということで…
出てくるソースはこれだけです。
1: #include<empirex.h>
2: class CHeavyInfantry : public CHoplite
3: {
4: public:
5: int ReflectAnyStrike();
CじゃなくてC++でした。クラス名がCで始まる、メンバ変数名が大文字で始まる、開きカッコの前で改行、というのはMFCのコーディング標準でしたっけ。あと、作中ではF7キーがビルドのショートカットキーになっているので、開発環境はVC6でしょうか[追記: 最新バージョンでもVCのビルドはF7でした。VC#と混同していたようです]。
p.33
ポインタのサイズは一律で4バイトです
64bit環境では通常8バイトです(参考)。この部分、作中に登場する入門書の、ポインタ変数の説明箇所の引用です。ただ、現実には、ポインタ変数が登場する段階で変数のサイズに言及するような入門書はあまり無いと思います…
p.84
「[前略]この基底クラス—"CHearvyInfantry"はC++の標準ライブラリには存在しない。[後略]」
p.88
「"重装歩兵"—"CHearvyInfantry"は、基底クラスなんです」
「このメモで定義されているのは、派生クラス。"DHoplite"のほう」
冒頭のコードの書き方だと、基底クラスはChoplite,その派生クラスがCHeavyInfantryになります。つまり説明が逆なんですが、そういうものだと思ってストーリーを読み進めていく必要があります。実在のC++とは異なるファンタジー言語を設定しているのかな、とも思いましたが、そうすると言語仕様的に変ですね(class,publicはどっちに係るんだろう)。
p.89
「クラスの継承(オーバーライド)—というものがあります。[後略]」
“継承”という漢字に”オーバーライド”というルビが振ってある箇所ですが、継承(インヘリタンス)とオーバーライドは別概念です。
p.211
「…デファインというのは、定数定義のことです」
C++で定数と言えば、const修飾した変数のことでしょう。defineの説明はこちら。
以上です。作中ではずっとCで通してるので、このコードはCという設定かと思いきや、C++という単語も数回登場します。ところでプログラミング言語C++って絶版になったんですかね…
…見逃していました。
p.220-225
「[前略]”EX_HOPLON”に定義する、六桁の数値だ」
[中略]
「—”010831”だ」
[中略]
—1 file was successful.
の、一行を最後に、ストップする。作業が正常に終了した証だ。
頭が0だと8進数なので、本来はコンパイルエラーになります(8進数で使用できる数字は0から7まで)。実はこの数値を入力した人はコンパイル前に気づいてて…、とかだと話は広がりそうです。
« [読書]どの口が東証システム(arrowhead)開発を指して正攻法だとのたまうのか『システム改革の正攻法』 | トップページ | [読書]約定率が低いことは良いことか『システム改革の正攻法』 »
この記事へのコメントは終了しました。
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: [読書]彼女と二人で「C」体験!にあえてツッコむ:
» [読書]どの口が東証システム(arrowhead)開発を指して正攻法だとのたまうのか『システム改革の正攻法』 [雪羽の発火後忘失]
「システム改革の正攻法」という東証の次世代株式売買システム「arrowhead」を立ち読みして、少し違和感を感じたので購入してみました。 パラパラとめくってみて、うーん、他の人はどんな感想なんだろう、と検索してみたところ、小飼弾さんの書評で なにしろこちらにはソースコードの一部まで乗っているのだ。 という記述を見つけました。おおそんなものが書いてあったのか、と該当箇所を読んでみたところ、全く腑に落... [続きを読む]
» [読書]彼女と二人で「C」体験!にあえてツッコむv2.0 [雪羽の発火後忘失]
副題は”絶頂ポリモーフィズム”。今回もストーリーにはなるべく触れないようにしていますが、終盤のギミックに関わっているのでネタバレありです。ちなみに前回はこちら。 コンピュータ対戦プログラミングについてよくは知らないのですが、 プレイヤ(チーム)ごとに1つのクライアントがあって、自分のユニット(駒)に命令を出すために用いる。 それぞれのプレイヤの命令は1つのサーバに集められ、1ターンごとに各プレイヤ... [続きを読む]
« [読書]どの口が東証システム(arrowhead)開発を指して正攻法だとのたまうのか『システム改革の正攻法』 | トップページ | [読書]約定率が低いことは良いことか『システム改革の正攻法』 »
コメント